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2017 Aug

02

Wed

セミナーレポート

「これからのエンジニアの幸せな生き方とは?」
~最新テクノロジートレンドからキャリアを考察する~

これからのエンジニアの幸せな生き方とは?

及川卓也氏元Google Engineering Manager&井原正博氏株式会社ビットジャーニー代表取締役

CTO、VP of Engineering、PM…それぞれのポジションに求められるものとは?

井原
エンジニアのキャリアを考えると、ひとつのゴールとしてCTOというポジションがあります。及川さんは、CTOが担う役割は何だとお考えでしょうか。人によっては、技術に尖った存在であるべきだという考えもありますし、現場をきちんとマネージすべきだという考えもあります。
及川
確かにCTOというのは明確に定義されていないように思いますね。一般的には、CTOというのは技術を究め、開発組織をマネージし、経営に関与していく、そんな役割が期待されているようですが、最近はVP of Engineeringというポジションがにわかに注目されています。これは、今説明したCTOの役割の2番目の開発組織をマネージするという部分である、技術者の組織づくりや採用育成に責任を負う立場であり、CTOとは別にマネジメント職として用意されることが多いようです。
井原
私がかつてクックパッドで担っていたのも、いま振り返るとVP of Engineeringでしたね。優秀な人材を採用し、組織として成果を上げることに注力していました。
及川
やはりCTOというのは技術領域に責任を持つ立場であるべきで、理想を言えばそれに加えて、VP of Engineeringの役割も務められることですが、両方を究めるのはなかなか難しい。特にスタートアップのベンチャーなどは、CTOがその2つを掛け持たざるを得ない場合が多いのですが、組織をきちんと機能させて開発を円滑に進めるためにはいずれにしてもCTOのジョブディスクリプションを明確にしておくべきだと思いますね。
井原
CTOやVP of Engineeringに次ぐエンジニアのキャリアとして、プロダクトマネージャー(PM)というポジションもあります。及川さんはGoogleでPMとして実績を挙げていらっしゃいますが、PMの役割を定義するとしたらどのようにお考えですか。
及川
CTO同様、PMというのもいろんな定義があると思いますが、私の中では明確で、それは製品の成功について最終的に責任を負う存在だということ。企業によっては、PMは複数組織からの人員によって構成されるプロダクトチームに対する人事権を持ってないことも多いので、チームメンバーであるエンジニアの能力開発などのマネジメントに携わることはない。エンジニアの長期的な成長を考えるのはVP of Engineeringに代表されるエンジニアリングマネージャーの役割なんです。
井原
エンジニアは新しい技術に挑戦して今までにない製品を作りたい。一方でPMは決められたスケジュール通りに製品をリリースしなければならない。両者の間にギャップが生じることもあるかと思います。
及川
おっしゃる通り、最新の技術を取り入れたいというのはエンジニアの性ですし、そうしなければ競争力が生まれないという意識をみな持っています。しかし、そこに投資するのはリスクもある。それを調整するのがPMの役割であり、ですからこのポジションにどのような能力が必要かといえば、それは「人間力」なんです。こう言うと身も蓋もありませんが……。
井原
及川さんがおっしゃる「人間力」というのは、どうすればチームの中でより発揮できるのでしょうか。
及川
ファシリテーションが重要だと思いますね。エンジニアが何かアイデアを出した時、「どうしてそう思ったのか?」と何度も真意を聞く。そこに対し、なぜこの製品を作って世の中に出すのかという本質を訴えて擦り合わせ、自分が作り出すものの意義を実感させれば、メンバーは前向きに行動してくれる。そして、現場から出されたアイデアをきちんと検証できる力も重要。アイデアというのは、課題を解決するための思考。そもそもの課題設定が間違っていたり、あるいは解決策の方向が誤っていたり、この2つをそれぞれ分けて検証する必要があります。こうした考え方のフレームワークを持っておくと、人に対して影響力を行使しやすくなる。ロジカルに考える必要があるのですが、ロジカルな思考というのは、良い意味で「批判的」に接していくことだと思いますね。

マネジメントも面白い。やりたいことがあれば、自ら具体的に提示すべき。

井原
エンジニアは、マネージャーのポジションに就くことを厭う人が多いように思います。私もかつてヤフーでマネージャーを務めましたが、チームのなかでいちばん技術力があるとされてリーダーに任命されたのだと思います。当時はまだ若かったこともあって、エンジニアとしての自分の成長を犠牲にして、チームとメンバーのために力を尽くすことに少し抵抗を感じていたのが正直な気持ちでした。及川さんはどうでしたか?
及川
私はマネージャーのポジションは楽しかったですね。エンジニアは、新卒で入社して10年目ぐらいまではリニアに成長できるんです。努力すればするだけ、自分の技術の幅が広がっていく。そこに費やせる時間にふんだんにある。でも10年ぐらい経つとライフステージが変わり、結婚して子供も生まれて時間的な制約も出てくる人もいるし、これからも同様に自分がリニアに成長できるかと考えてみたときに、それを難しいと考える人も増えてくる。私の場合も、ふと気づいたんですね。自分ひとりなら10年かかることが、自分と同じレベルのエンジニアを10人集めれば、1年でできる。自分が培ってきた能力や価値観を、こいつと仕事がしたいと思えるメンバーに移植して、一緒に強いチームを作って素晴らしい製品を世の中に送り出せれば、こんなにエキサイティングなことはないと。たぶん、エンジニアとしてキャリアを積むうちに、私と同じような思いを抱く人は結構いらっしゃるのではないでしょうか。
井原
これは私の持論ですが、マネージャーなどのタイトルやポジションはどうでもよくて、自分が生きたいように生きられることが大事だと思います。自分の側に常に選択肢がある状態というか、他者から選ばれるのではなく、自分でやりたいことが選びたい。それが果たせるだけの実力をつけておこうとこれまで努力してきましたし、それが私のキャリア観ですね。
及川
世の中には、エンジニアの昇進が「管理職」しかないという会社も多いと思います。でも、そうした会社はキャリアアップしたエンジニアに担ってほしい役割のイメージが経営側にないんですね。なので、もしマネジメントだけを担うポジションに物足りなさを覚えるのなら、やりたいことを自分から提示していけばいい。たとえば、オープンソースのコミュニティに参加し、対外的に自社のプレゼンスを高めてブランド向上を図るとか、自分のやりたいことを具体的に経営側に提案し、マネジメント以外の軸で評価してもらえるような働きかけをしていくことも、有意義なキャリアを実現するひとつの方法だと思いますね。

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2019年03月06日
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